甘さなんかいらない




到着するまで行き先を教えてくれなかったその場所。

白い砂浜に水色の海が太陽の光に照らされて煌めいていた。



暑くなり始めたけれどまだまだ過ごしやすい5月、あたしたちのほかにほぼ誰もいなくて貸切気分。


目の前いっぱいに広がる砂浜に、ようやくサンダルの意図に気がついた。



こうして車を走らせて海に来たのは今回が初めてではないのだろうか、と余計なことを考えかけて、脳内から海の向こうへと投げ流しておいた。




……あたしは昔から“特別”に縋りたくなってオンリーワンを願ってしまうけど、この男にそれは通用しない。あたしにとってオンリーワンでも、この男から見たらあたしは圧倒的に不特定多数中の1だ。



ただの元同級生で、現ゼミの同期。以上。

それ以上でも以下でもなく、それ以上を願っているわけでもない。