甘さなんかいらない




どうにかこの受け入れ難い感情をしまい込んだら、準備OK、大丈夫。よし、と小さく意気込んでから下まで降りれば、事前に教えてもらっていた白色の車が目に映る。


近づけば運転席には、今日のあたしが隣にいる想像を幾度となくしたそのひとが座っていた。


揺れる黒髪はあたしに気がついて目が合って、少しだけ口元を緩めた。助手席のドアを開けて、長めの丈を踏まないように乗り込む。いつもと違うあたしにどんな反応をするのかどきどきしてしまう。



ああ、あたしってこんなにも乙女みたいな思考回路してたっけ。

瑛くんと再会してから、あたし自身も知らない羽山柚果に何度も出会っている気がする。




「ありがとう、お迎え」


「全然。……迎えにきて正解だった」


「え、なんで?」


「可愛すぎて、困るから」


「……っ!」