チャリパイ11~時をかける森永探偵事務所~



気力を振り絞って、残りのカレーを口の中に詰め込もうとする子豚。だが、制限時間も刻々と迫る中、ついには残り10秒となった。


「9!…8!7!6!…」


高見沢…そして、料理を運んで来た従業員達が声を揃えてカウントダウンを始める。


子豚の前には、残り僅かに一口のカレーライス…しかし、子豚の手は止まっていた。


「コブちゃん!あと一口だっ!根性だよ!根性~!」


「5!…4!…3!…」


「コブちゃん!頑張れ~~!」


皆に励まされて、残り2秒で全てのカレーを気合いで口の中に詰め込んだ子豚!


「よくやったぞ!コブちゃん!」


こんなに頑張る子豚を、今までに見た事があるだろうか。


もしたとえ、この勝負に負けたとしても、誰も子豚を責める事なんか出来やしない。





しかし、その直後。




「…ウプッ!…」


口の中に入れたカレーを、子豚が吐き出しそうになった!


「うわ~っ!ダメだよコブちゃん!」


シチローが慌てて子豚のもとに駆け寄り、両手で子豚の口を塞いだ。


「ここで吐いたら、完食が取り消しになっちまう!…ピエールの方は余裕で完食してるってのに!」


そう…


ピエールの方は余裕で完食しているはずだった。