気力を振り絞って、残りのカレーを口の中に詰め込もうとする子豚。だが、制限時間も刻々と迫る中、ついには残り10秒となった。
「9!…8!7!6!…」
高見沢…そして、料理を運んで来た従業員達が声を揃えてカウントダウンを始める。
子豚の前には、残り僅かに一口のカレーライス…しかし、子豚の手は止まっていた。
「コブちゃん!あと一口だっ!根性だよ!根性~!」
「5!…4!…3!…」
「コブちゃん!頑張れ~~!」
皆に励まされて、残り2秒で全てのカレーを気合いで口の中に詰め込んだ子豚!
「よくやったぞ!コブちゃん!」
こんなに頑張る子豚を、今までに見た事があるだろうか。
もしたとえ、この勝負に負けたとしても、誰も子豚を責める事なんか出来やしない。
しかし、その直後。
「…ウプッ!…」
口の中に入れたカレーを、子豚が吐き出しそうになった!
「うわ~っ!ダメだよコブちゃん!」
シチローが慌てて子豚のもとに駆け寄り、両手で子豚の口を塞いだ。
「ここで吐いたら、完食が取り消しになっちまう!…ピエールの方は余裕で完食してるってのに!」
そう…
ピエールの方は余裕で完食しているはずだった。
.



