チャリパイ11~時をかける森永探偵事務所~


「えっ!本当ですか♪
上様♪」


将軍の話に最初に食い付いたのは子豚とひろきであった。


天下の将軍がとらせる褒美である。


これは期待するなと言う方が無理な相談だろう。


子豚の頭の中には、現代の価値で数百万はするであろう、黄金色に輝く大判をニヤけながら数える自分の姿が浮かんでいた。


「やったわ~ひろき♪
これで私達も立派なセレブよ♪」


そう言って、手を取り合って喜ぶ子豚とひろきの二人。


「そうか♪そんなに喜ばれると、余も嬉しいぞよ♪
では、褒美をこれへ!」


将軍が扇子を振り下ろし合図をすると、隣の室に控えていた家来が、盆の上に何かを載せてやって来た。






「これじゃ♪」






その盆の上の物を見ようと、座ったまま伸び上がった子豚だったが、
その笑顔はすぐに違うものとなった。



「……え?……これって……」








家来が運んで来た褒美とは、大判小判などでは無い。



それは、凝った模様の刺繍が細工された、この時代の上流階級が好んで着る着物の数々であった。


「見れば、その方達、普段からろくな物を着ていないようじゃな!
膝なんぞボロボロではないか!」


膝の破れたジーンズを
将軍に指摘された
シチローが頭を掻いて答える。


「いやあ~一応、こういうファッションなんですけどね♪」