「えっ!本当ですか♪
上様♪」
将軍の話に最初に食い付いたのは子豚とひろきであった。
天下の将軍がとらせる褒美である。
これは期待するなと言う方が無理な相談だろう。
子豚の頭の中には、現代の価値で数百万はするであろう、黄金色に輝く大判をニヤけながら数える自分の姿が浮かんでいた。
「やったわ~ひろき♪
これで私達も立派なセレブよ♪」
そう言って、手を取り合って喜ぶ子豚とひろきの二人。
「そうか♪そんなに喜ばれると、余も嬉しいぞよ♪
では、褒美をこれへ!」
将軍が扇子を振り下ろし合図をすると、隣の室に控えていた家来が、盆の上に何かを載せてやって来た。
「これじゃ♪」
その盆の上の物を見ようと、座ったまま伸び上がった子豚だったが、
その笑顔はすぐに違うものとなった。
「……え?……これって……」
家来が運んで来た褒美とは、大判小判などでは無い。
それは、凝った模様の刺繍が細工された、この時代の上流階級が好んで着る着物の数々であった。
「見れば、その方達、普段からろくな物を着ていないようじゃな!
膝なんぞボロボロではないか!」
膝の破れたジーンズを
将軍に指摘された
シチローが頭を掻いて答える。
「いやあ~一応、こういうファッションなんですけどね♪」
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