チャリパイ11~時をかける森永探偵事務所~


「かっかっかっ♪
やはりここは町奉行ではちと役不足だったようですな♪」


金さんが海に投げられて、急に上機嫌になる水戸の御老公。


アンタは本当に正義の味方なのか?


「それ!格さん、あの悪代官共にアレを見せてやりなさい♪」


再び巡って来たチャンスを逃すまいと、光圀は格さんに印籠の提示を促す。


それを受け、光圀の両脇にぴったりと付いた助さんと格さんは、大声を上げて悪人共を威嚇した。


「ええ~い!静まれ~!静まれ~い!」


その号令に、辺りは水を打ったように静まり返り、悪代官達は何事かといった顔で光圀達に注目していた。


まるで歌舞伎役者のごとく大きく右肩を張り出した格さんは、懐に手を突っ込んであの名台詞を導き出す。









「皆の者、頭が高い!
ひかえおろう~~!
この紋所が目に……この紋所……………………
あ…あれ…?」


「どうした、格さん?」











「……いけねぇ……宿に印籠忘れてきちまった!」


「なんですとおおぉぉぉぉぉ~~~っ!」





現実は、なかなか時代劇のようにはいかないものである。