チャリパイ11~時をかける森永探偵事務所~


「オイラがあんなのに勝てる訳無いだろ…」


肩を落としてうなだれたまま、小さな声でそう呟くシチロー。



「ねぇシチロー♪
それなら良い事を教えてあげるわ♪」


そう言って、後ろから声をかけてくれたのは凪。


隊尊との闘いを目の前にして、すっかりヘタレているシチローに、凪は朗報を授けてくれた。


「このバーチャルワールドでは、敵に倒されたらゲームオーバーだって事は最初に話したけど、
もう一つ…この世界では現実の世界に無い、ある現象が起きているの」


「ある現象?」


シチローは、凪の方へと振り返りその言葉の続きを待った。


「そう…その現象とは、『パワーポイント』。
私達は、敵の刺客を倒す度に『パワーポイント』を貯めて、自らの力を強くする事が出来るの!
ファイナルステージまでたどり着いたって事は、シチローも知らないうちにかなり強くなっている筈だわ!」


「えっ?それホント♪
凪~♪」


シチローの顔が、ぱっと明るくなった。


「じゃあ~魔法とか使えるの?」


「いや…魔法は・・・」


ひろきの横やりに、凪が苦笑して答えた。