チャリパイ11~時をかける森永探偵事務所~


シチローの相手とは、
一体どんなファイターなのだろう。


やがて、会場には重厚なディストーションのかかったギターのリフが流れ出した。



♪ジャーージャ!
♪ジャーージャ!
♪ジャージャジャジャジャジャ!



ズンズンと重低音の効いたリズムに合わせて、観客は拳を振り上げて歓声を絞り出す。


『さあ!お馴染みのテーマ曲に乗せて我らが機械軍の最強ファイターがやって来た!
赤コーナーから、チャンピオン『隊尊』の登場です!』


その『隊尊』に目を向けて、シチローが絶叫した。


「なにぃぃ~っ!あんなスゲエのがオイラの相手なのかよ!」


遠目に見ても判る、筋肉隆々の鍛え抜かれた黒い肌の肉体。


まさに、全盛期のマイク タイソンを彷彿させるド迫力である。


「あれ、どう見たって
ヘビー級だろ…ここはやっぱり、同じヘビー級のコブちゃんに出てもらって…」


「おいコラッ!
誰がヘビー級よ!誰が!シチロー、指名されたんだからちゃんと闘いなさいよ~!」


「だ、だってさぁ…」


あまりにも強そうな隊尊の登場に、シチローはすっかり自信を無くしてしまった。