シチローの相手とは、
一体どんなファイターなのだろう。
やがて、会場には重厚なディストーションのかかったギターのリフが流れ出した。
♪ジャーージャ!
♪ジャーージャ!
♪ジャージャジャジャジャジャ!
ズンズンと重低音の効いたリズムに合わせて、観客は拳を振り上げて歓声を絞り出す。
『さあ!お馴染みのテーマ曲に乗せて我らが機械軍の最強ファイターがやって来た!
赤コーナーから、チャンピオン『隊尊』の登場です!』
その『隊尊』に目を向けて、シチローが絶叫した。
「なにぃぃ~っ!あんなスゲエのがオイラの相手なのかよ!」
遠目に見ても判る、筋肉隆々の鍛え抜かれた黒い肌の肉体。
まさに、全盛期のマイク タイソンを彷彿させるド迫力である。
「あれ、どう見たって
ヘビー級だろ…ここはやっぱり、同じヘビー級のコブちゃんに出てもらって…」
「おいコラッ!
誰がヘビー級よ!誰が!シチロー、指名されたんだからちゃんと闘いなさいよ~!」
「だ、だってさぁ…」
あまりにも強そうな隊尊の登場に、シチローはすっかり自信を無くしてしまった。
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