「くる実さん!大丈夫ですか?!」
慌てた様子で黒木さんが帰って来たのは、19時過ぎだった。
黒木さんは、まずわたしを抱き締めると「帰りが遅くなってすいません。」と言った。
わたしはギュッと力がこもる黒木さんの腕の中でゆっくり黒木さんの腰に腕を回すと「おかえりなさい。」と言い、黒木さんは安心したように「ただいま。」と返してくれた。
「あのあと、警備室に行って確認しましたが、やはり騒ぎ立てていたのは舞さんだったみたいです。何でこんなことに、、、」
そう言って黒木さんはわたしの頭を撫でると、「警備員さんには、舞さんを出入り禁止にするようお願いしてきました。」と言った。
黒木さんは少し身体を離すと、「でも、油断は出来ません。舞さんのことですから、いつどこで何をしてくるか分かりません。」と険しい表情で言った。
そしてわたしたちは、引っ越しの日にちを早めることにした。
引っ越し先は10階建てのマンションでオートロックがついている。
オートロックも何も無い今のアパートよりは少し安心だ。
こうして、わたしたちはすぐに不動産に連絡をし、引っ越しの日にちを早めてもらうと、すぐに引っ越し出来るように荷造りを始めた。
そうは言っても、ワンルームでそんなに物の多くない部屋なので、荷造りは二人で手分けをしてあっという間に済んだのだった。



