その日の夜、黒木さんは帰宅すると、すぐに外舘先生から訊いてくれた敬ちゃんの話しをしてくれた。
「やはり、くる実さんが見かけたのは敬介さんの可能性が高いです。施設育ちで人間関係に悩んでいたようで、仕事も残業が多く、上司と合わなくて社会不安障害になってしまったと、外舘先生が言っていました。」
黒木さんの言葉に「社会不安障害?」と首を傾げるわたし。
黒木さんは「んー、鬱病のことですね。今は働ける状態ではないので、休職しているみたいですよ。」と教えてくれた。
「敬ちゃん、働けなくなるほど酷いんですね、、。」
「人によって症状は違いますが、目眩や頭痛、動悸や倦怠感など、仕事に支障のある症状ばかりなので、休職する人は多いんですよ。鬱病は、心の風邪だと言う人も居ますが、本当は脳の病気なんです。まだまだ、理解の得られない病気ですが、簡単に治る病気ではないんです。」
黒木さんの言葉に敬ちゃんの言葉を思い出した。
仕事は上手くいかないし、いつも一人だったって言ってたなぁ、、、
敬ちゃんの言葉を思い出し、涙が溢れてくるわたしを黒木さんはそっと抱き締めた。
そして、優しくわたしの背中を撫でてくれた。
「大丈夫ですよ。担当が外舘先生なので、心配いりません。カウンセリングも受けているようなので、ゆっくり治療していけば、いつか治ります。」
わたしは「そうですね。」と言うと、黒木さんを抱き締め返してたのだった。



