「生きること」 続編


わたしは仕事を2日間のお休みさせてもらった。
心配してくれた岡部さんは「もう一日くらい休んだら?」と言ってくれたが、わたしは「大丈夫です。ご迷惑おかけして申し訳ありませんでした。明日から出勤します。」と言うと、「休ませていただいた分、頑張ります!」と続けた。

岡部さんはいつものように豪快に笑うと、「頑張り過ぎて、また熱出すんじゃないよ〜?じゃあ、明日からまたよろしくね!」と言い、電話を終わらせた。

電話が終わると、すぐ側にいた黒木さんが「本当にもう大丈夫ですか?」と心配してくれた。

わたしは「熱も下がりましたし、まだ喉の痛みはありますが、マスクをして行けば大丈夫です!」と言った。

「あまり無理しないでくださいね。」
「大丈夫ですよ。それに念の為もう一度、受診することになってるんです。板橋先生が、黒木先生の奥さんだから丁寧に診察しないと〜って。」

わたしがそう言って笑うと、黒木さんは「それなら安心です。」と言って微笑んだ。

「あ、そういえば、、、」

わたしはあることを思い出した。

黒木さんは「どうしました?」と言い、わたしの顔を覗き込むようにこちらを見た。

「こないだ、板橋先生に診てもらいに行ったとき、敬ちゃんを見掛けたんです。」
「敬ちゃん?それって、村坂敬介さんのことですか?」
「はい。心療内科に受診しているようで、3番の診察室に入って行きました。」

わたしはそう言ったあと、「黒木さん、知ってましたか?」と尋ねた。

黒木さんは「いえ、知りませんでした。僕の担当に村坂敬介さんという方はいらっしゃらないので、、、。3番の診察室なら、外舘先生の担当かもしれません。」と言った。

「凄く暗い顔をしていたというか、ぼんやりした様子で、、、大丈夫かなぁって、心配で。」
わたしがそう言い、視線を落とすと、黒木さんはわたしの手を握り締めてくれた。

「明日、外舘先生に訊いてみますよ。」
「良いんですか?」
「僕も敬介さんには、くる実さんを助けていただいた恩がありますし、心配なので。」

わたしは黒木さんの言葉に「ありがとうございます。」と言うと、黒木さんに抱き着いた。
黒木さんは優しく抱き締め返してくれると、「くる実さんの大切なお友達ですからね。」と言い、わたしの髪を撫でたのだった。