「どうしたんですか?不味そうでしたか?!」
わたしの涙を見て不安そうに黒木さんはそう言った。
わたしは首を横に振ると「嬉しくて。」と涙を拭った。
黒木さんはオボンを置いて、茶碗とスプーンを持つと、玉子がゆを一口分すくった。
そのままわたしに食べさせようするので、わたしは「自分で食べれます。」と笑い、茶碗とスプーンを受け取った。
「あ、また過保護だって言われちゃいますね。」
そう言って、黒木さんは苦笑いを浮かべると、「美味しいか分かりませんが、どうぞ。」と言った。
わたしは「いただきます。」と言うと、フーッフーッと二度冷まし、そっとスプーンを口の中へ運んだ。
ほとんどお米の形が残っていない玉子がゆは、かなり薄味で玉子の味しかしなかった。
お世辞にも美味しいとは言えないかもしれないが、それでもわたしには最高の玉子がゆだった。
「どうですか?」
わたしの反応を不安そうに待つ黒木さん。
わたしは黒木さんに微笑んで見せると、「美味しいです。」と答えた。
黒木さんは不安そうな表情から笑顔になると、「良かった!」と言った。
わたしは茶碗少量の玉子がゆを完食した。
全く食欲はなかったが、一生懸命に黒木さんが作ってくれた玉子がゆを残すことが出来なかったからだ。
わたしは食後に薬を飲むと、再びベッドに横になった。
「ゆっくり休んでてください。家のことは僕がやるので。」
「ありがとうございます。」
わたしは黒木さんのお言葉に甘えてると、再び目を閉じ、早く回復する為に身体を休めることに努めたのだった。



