「生きること」 続編


その日の夜、わたしは黒木さんが帰宅してから、わたしが働く花屋に舞さんらしき人が来たことを話した。
黒木さんは、わたしと同様に「えっ?!」と驚いていた。

「まさかこんなに早く見つけてくるなんて、、、」
黒木さんはそう言うと、難しい表情を浮かべ、「舞さんが生きているのも不思議ですが、どうやって僕たちの居場所を探し出しているんでしょうね。」と言った。

「早すぎますよね。ここもそのうち見つかっちゃうのかなぁ、、、。」
そう言い、わたしが不安に感じていると、黒木さんはわたしを抱き締め「大丈夫ですよ、ここはオートロックが付いていますし。何が何でも、僕がくる実さんを守りますから。」と言ってくれた。

「黒木さんも気を付けてくださいね。」
「はい、分かっています。」

この日の夜は、なかなか寝付けずに居た。
舞さんが現れてから、毎日が不安でいっぱいだ。

すると、目を瞑るわたしが眠りに就いたと思ったのか、黒木さんが静かにベッドを抜け出していくのを感じた。
そして、そっと寝室を出て行ったのだ。

トイレかな?と思ったが、黒木さんはなかなか戻って来なかった。

気になったわたしは、ベッドを出ると寝室のドアをそっと開け、リビングを覗き込んだ。
リビングに黒木さんの姿はなかったが、ベランダがある出窓のカーテンが開いていて、月明かりが差し込んでいるのに気付いた。

そして、カーテンの隙間から、ベランダで空を見上げる黒木さんの後ろ姿を見つけたのだった。