仮面を被った私たち


「……タバコは……………」

「家では吸ってるけど学校では一回も吸ったことない
 たまたま持ってたから丁度良いなって
 お互いに弱み握ってた方が雅が素のままでいてくれる気がしたから
 そしたら予想通り」

「うざっ
 アンタの手のひらで踊らされてるじゃん」

「俺は雅のためならどんな手でも使うから」

「…………アンタは……結局どっちが素なのよ…………」

「こっちに決まってるだろ
 あんなに愛想良くしたくねぇよ
 ただ、もしどこかで俺が一条グループの息子であることがバレたら…………こっちの性格だとイメージ悪くなるだろ
 仕方なく愛想良く振る舞ってる」

「…………なんで桜庭なの」

「俺の母親の旧姓が桜庭
 母親のところも由緒ある家らしく………
 母親は一人っ子で一条の家に嫁に来たから桜庭の家名を継ぐ人がいなくて
 だから俺が継いだ
 その代わり、親父の会社に入るまで少し時間が欲しいって頼んだ
 別に一条の苗字にこだわりはなかったからな」

「………………」

「どう?
 俺のこと思い出した?」

「全然
 アンタみたいなウザイ奴に会ってたら絶対忘れないと思うけど」

「うわっ、ひど
 まぁそれならそれで良いんだけどさ
 雅、俺はお前が好きだ
 今すぐ付き合えとは言わないけど………少し考えてみて欲しい」

「…………本気で言ってんの?」

「本気だ
 雅を傷つけた奴は誰であっても許さない
 だから言え
 絶対にどうにかしてやるから」