再会は、嵐を呼ぶ恋の始まり

春まで私が主担当を務めていた丸星デパートを石田くんに引き継いでからトラブルの報告は受けていなかった。
しかし、丸星デパートは大口取引先であるが故に無理難題を押し付けてくる傾向にはある。
だからこそ石田くんに引き継ぐタイミングを逃して、今年春まで来てしまった。
とはいえ、2年も私についていた石田くんだから問題なくやってくれると思っていたのだが、相手のわがままな要求に石田くんの方がキレてしまったようだ。

「向こうはうちとの取引を考え直すとまで言ってきている」
「それは・・・すぐに私が行ってみます」

丸星デパートを落とすなんてことになったら大問題だ。
すぐに飛び出そうと、私は部屋を出て行こうとした。

「俺の耳にまで届いた以上、簡単な話ではないぞ」

難しい状況なのは理解しているが、このままでは石田くんや上司である亮平の立場だって怪しくなってしまう。

「わかっています」

この時の私は必死だった。
どんなことをしても、丸星デパートを落とすわけにはいかない。
頭の中でそんなことを考えていた。