再会は、嵐を呼ぶ恋の始まり

俺自身、長嶋家の息子として何の不自由もなく育ててもらった自覚はある。
やりたい事は何でもやらせてもらった。
しかし、幸せだったかと聞かれれば違う気がする。
俺の両親は俺が小学校に上がる頃離婚した。
長嶋の家の暮らしにどうしても馴染めなかった母は家を出て行った。
その後は父との二人暮らしだった。
もちろん、家にはいつも数人の家政婦さんがいたから不自由はなかったが、一人ぼっちの寂しさは常に感じていた。
そんな俺が大学を卒業してNAGASIMAに入社し、そこで出会ったのが吉野だ。
ぱっと見モデルかなと思うくらいスタイルがよくて、涼やかな美人顔。
営業職を希望して配属された割には控えめで、おとなしい性格。
こいつ本当に大丈夫なんだろうかと不安になりながら一緒に仕事をすることになった。
どちらかと言うと器用でも要領が良い方でもない彼女が、何度も何度も相手にくらいついて契約ものにする。そのバイタリティーに俺はショックを受けた。
そして、いつしか彼女のことを好きになっていた。