4月最後の水曜日。
場所は会社の近くにある中華料理店。
5年も務めている私は部の集まりで何度か来たことのある定番のお店だ。
そう言えば、私達の歓迎会もこの店だった。
「吉野チーフ、そこは若手の席ですよ」
少し遅れて店に入り、すでに乾杯の終わった部屋の中を見回して一番後方のテーブルに座ろうとした私に、石田くんが寄ってきた。
「私はここがいいの」
入口に近い席は幹事を務める若手社員たちの席と決まっている。
ここならすぐに動けるし、飲み物や料理の空き具合も見渡せるからだが、私も今日はこのあたりに座りたい。
と言うか、あまり前方の席には近づきたくない。
「チーフがそこに座ったんでは余計に目立つと思いますけれど」
そんなことを言いながら、石田くんは私の隣の席に腰を下ろした。
「何してるの、石田くんはもっと前に行きなさい」
「俺も、今日はここがいいので」
「勝手にしなさい」
こんなところで石田くんと言い合いをしても仕方がない。
この時の私は、部屋の一番前の方で多くの女子社員に囲まれている彼を見ながら、挨拶だけしていいタイミングで抜け出そうと考えていた。
場所は会社の近くにある中華料理店。
5年も務めている私は部の集まりで何度か来たことのある定番のお店だ。
そう言えば、私達の歓迎会もこの店だった。
「吉野チーフ、そこは若手の席ですよ」
少し遅れて店に入り、すでに乾杯の終わった部屋の中を見回して一番後方のテーブルに座ろうとした私に、石田くんが寄ってきた。
「私はここがいいの」
入口に近い席は幹事を務める若手社員たちの席と決まっている。
ここならすぐに動けるし、飲み物や料理の空き具合も見渡せるからだが、私も今日はこのあたりに座りたい。
と言うか、あまり前方の席には近づきたくない。
「チーフがそこに座ったんでは余計に目立つと思いますけれど」
そんなことを言いながら、石田くんは私の隣の席に腰を下ろした。
「何してるの、石田くんはもっと前に行きなさい」
「俺も、今日はここがいいので」
「勝手にしなさい」
こんなところで石田くんと言い合いをしても仕方がない。
この時の私は、部屋の一番前の方で多くの女子社員に囲まれている彼を見ながら、挨拶だけしていいタイミングで抜け出そうと考えていた。



