再会は、嵐を呼ぶ恋の始まり

そして、その日の夕方に事件は起きた。

「吉野チーフ頼んでいた書類はできる?」
「え?」

意味がわからず、ぽかんと口を開けた私に課長のほうも驚いたような顔をする。

「昨日の帰りにデスクの上に置いておいたデータを、明日の朝の会議用にまとめておいてほしいとお願いしておいたんだが?」
「え…」

知らない。
課長が黙って置いて行くずがないから、周りの誰かに声をかけたのだだろうけれど、聞いていないし、書類自体ももらった覚えがない。

「あれ、困ったなぁ。今日中に作っておきたかったんだが」
「すみません、すぐに用意します。申し訳ないですけれど、データをもう一度いただけますか」
「ああ、すぐに用意するが、大丈夫?」
「ええ。今手持ちの仕事はありませんし、それだけやって帰ります」

定時には間に合わないかもしれないけれど、少し残業すればできる仕事だ。
幸い今日は亮平も外出中で帰りは遅くなると言っていたし、問題ないだろう。

「悪いが、お願いするよ」
「わかりました」

私は書類を受け取り、たまにはコーヒーでも入れて気合を入れようと給湯室に向かった。