再会は、嵐を呼ぶ恋の始まり

「ボーっとしていたね」
「すみません」

最悪。
2年ぶりの再会なのに・・・
私だって成長したんだぞってところを見せたいのに、これじゃあ間抜けすぎる。

「今日からまたよろしく」
「はい、よろしくお願いします」

見た目こそ大人っぽくなったけれど、声も雰囲気も2年前のままの彼になぜかホッとした。
部長としての異動であれば以前のように親しくはできないけれど、こうして顔を見られるだけでいい。
そんな思いで、私は彼を見つめた。

「変わらないな」
「え?」

他のみんなと同じように一言二言挨拶をして去っていくものと思っていたのに、なぜか私の前を動こうとしない彼、いや、今は部長と呼ぶべきなのだろう。

「顔も雰囲気もあの頃のままだ。髪の長ささえ同じ見える」
「ええ、変わっていません」

手間がかからず邪魔にならず、自分に似合う髪型と考えたらこのスタイルにて定着してしまった。

「吉野らしいよ」
「部長は、寝癖がなくなりましたね」
「もちろん。今日は一生懸命直してきた」
フフフ。

周囲に聞こえないくらいの小声で私たちは笑いあった。