お母さんが扉を閉めたと同時に

「…お母さん、ごめんなさい」

私がうつ向いて謝れば

「菜美は何も悪くないわよ。
過保護すぎる不良家族に
彼氏の存在なんか言える訳ないし?
お母さんが菜美の立場でも言えないもの」

お母さんはそんな私の手を
優しく握ってくれた。

「…お母さんの親が2人共
まだお母さんが小さい時に
亡くなったのは知ってるわよね?」

「…うん」

「親の代わりにお母さんをずっと育ててくれたのは姉だったけど…家族だからこそ甘えられなくて言い辛い事もあったし…そんな時に私の心を救ってくれたのは雫…お父さんだった。
お母さんはお父さんがいなければ
ずっと寂しいままの人生だったと思う」

「…」

「だから菜美にも家族以外でそうやって
心から愛せる人と出会ってくれて…
疲れてるはずなのに文句も言わず家事もして
優しく兄弟達のお世話をしてくれる菜美を支えてくれる存在が現れて…お母さん凄く嬉しい。皆もいずれその男の子の事を理解してくれるわよ。今はその男の子の事が何も分からないから皆感情的になってるだけで、菜美がその人の傍で幸せに笑ってる所を見れば、反対なんか出来ないわ」