「推しに私の名前を呼んでもらえるなんて、一生忘れないよ!最高に良い思い出!」
「あー……そっちね」
綾瀬くんの顔色が、少しずつ戻る。
一度だけ深呼吸した綾瀬くんは、「あつー」と服をパタパタさせながら手を伸ばす。
そして「ちょうだい」と、私からペットボトルをさらった。
ゴクリ
綾瀬くんが、躊躇なくペットボトルに口をつける。
ペットボトルに、口を……
えぇ⁉
「あ、あああ、綾瀬くん⁉」
「そうだ。二人きりの時、お互い名前で呼ぶっていうのはどう?」
「んぇ⁉」
どうにも、こうにも……ダメに決まってる!
「は、ははは、恥ずかしいよ!それに、もし誰かに聞かれて変な噂が広まったら、」
「広まったら?」
切れ長の瞳が、スッと私へ向く。
恥ずかしくて、すぐに顔をそら……したいのに、逸らせない!
なぜなら綾瀬くんが、私の両頬を手で挟んでいるから!
逸らすの禁止、って顔に書いてある……!



