「教室に戻ろう?」と促すも、玲くんはポケットからスマホを取り出す。どこかへ電話するみたい。
……って、え⁉
学校内は、スマホの使用禁止だよ⁉
「あぁ、俺。今から行くから」
短い会話をした後、スマホをポケットへ押し戻す玲くん。流れるような一連の動作に、開いた口が塞がらない。
今、何が起こった?
それに、どこに行くって?
行く先に、誰が待ってるの?
「ってわけで、ゆの。行くよ」
「えぇ……⁉」
手を掴まれ、そのまま引っ張られる。拒もうにも、男子特有の力強さに敵うはずもなく――ズルズルと、半ば引っ張られる形で、廊下を歩く。
「ま、待ってよ、玲くん」
「はいはい。もう授業中だから静かにね」
たまに私の方を振り返っては、ちょっと意地悪な笑みを向ける玲くん。長い人差し指が、彼の唇に「しー」という効果音つきで添えられる。
その横顔にドキドキしながら、長い廊下を渡りきり、階段をのぼる。最後に、重たい扉を開くと――
「え?」
目の前に広がるのは、ヤタカ、リムチ―、そしてお姉ちゃん。
私が来るのを待っていたように、開けた瞬間から、三人はこちらを向いていた。



