罰が悪そうに眉を下げる玲くん。
だけど顔は真剣そのもので……もう逃げられないと悟る。
どうして私を追いかけてんだろう。
だって玲くんは、お姉ちゃんの――
「ゆの、勘違いしてるようだから言っておくけど、」
「!」
薄い唇が、今にも残酷な言葉を吐くんじゃないかって。怖くて仕方ない。
「やだ!」咄嗟に、両耳に手をあてる。
ごめんね玲くん。でも、無理なの。
これ以上、悲しいことを聞いちゃうと、立ち直れない。ずっと泣いちゃう。玲くんの前なのに、ヒドイ顔で泣いちゃうよ。
「だから、ダメ。何も言わないで……っ」
「……わかった」
スッと目を伏せた玲くんは、そのまま足を前に出す。二歩、三歩と出した後。
私の前で、ピタリと止まった。
瞼が上がり、黒い瞳が、ゆっくり現れる。
その中には、今にも泣きそうな私がいた。
「何も言わせてくれないなら、俺についてきて」
「い、今から?」
「今すぐ」
言った瞬間にチャイムが鳴る。
授業開始の合図だ。



