「あぁ、ダメ。早く諦めないと。
玲くんには、彼女がいるんだから……っ」
パチン、頬を叩く。
けっこう痛い。
「自分への罰だよね……」
ファンは、ファンの範疇を越えたらダメ。
そんなの分かってる……つもりだった。
でも、あまりにも玲くんと一緒にいすぎて。
いつの間にか、距離感を間違えちゃった。
推しを、本気で好きになってしまった。
自分だけの玲くんでいてほしい、なんて。
そんなの、他の玲くんファンが聞いたら、怒るに決まってる。
「身の程を弁えなさいって話だよね、はは。
でも……本当に、楽しかったなぁ」
玲くんと初めて帰った日のこと。
仮ステラの私をフォローするって言ってくれたこと。
電車から落ちる私を抱き留めてくれたこと。
手を繋いで、玲くんのファンから逃げたこと。
名前で呼び合ったこと。
ロマンチックな言葉を言い合ったこと。
星空の下、笑い合ったこと――
全部ぜんぶ、現実を忘れるくらい楽しかった。



