推しにおされて、すすむ恋



「昨日は、いきなりメール送ってごめんね」
「う、ううん!私こそ、返信できなくてごめんね。片付けでバタバタしててさ……えと、ちょっと席を外すね!」
「待って、ゆの」


逃げようとした私の手を、ガッシリ掴む玲くん。
心配そうに私を見つめる瞳が、容赦なく私の心を暴いていく。


「どうしたの?何かあった?」
「べ、別に……」

「でも、いつもの元気がないように見えるけど」
「!」


叔母さんが言ってくれた、私の魅力。
それは、元気。

でも、叔母さんごめん。
いま私、ぜんぜん元気じゃないや……っ。


「……っ。本当に、なんでもないの!」
「あ、」


ゆの!――教室で、玲くんの叫び声が響く。

そんな大きな声を出すと、クラス中に注目されるじゃん!玲くんってば、何を考えてるの!

頭の中で玲くんを怒る。同時に、さっき私の名前を呼んでくれた力強い声が、頭の中で何度も再生される。


『ゆの!』


人目をはばからず、私の名前を呼んでくれた。
それだけで、胸が焦げたり、つかえたり。
喜んだり悲しんだりと、感情が忙しい。