月の雫 ~愛してくれる貴方へ~

「…そうですね。
本当は少し外を散歩してみたいのですが…
ダメですよね?」


私がダメ元で聞いてみれば
柚月さんも少し困ったように笑っていた。


「若頭様の許可が下りないと…。
何より組内の派閥もあって敷地内を散歩するだけでも危険は伴いますから…」


…柚月さんの言う事は最もだ。

それに私は今はもうほぼ絶縁状態だけど
一応櫻木組の長子として育ち
その事をあまり良くないと思う人もいるだろうから、あまり出歩かない方が良いのは分かっている。


でも家の中にいてばかりというのも
体力は衰え体調的にも良くないだろうし。


「…月様から若頭様に気持ちを伝えれば
月様を愛されている若頭様の事ですから
空いた時間に一緒に外を散歩して下さいますよ。月様は若頭様の奥様なのですから、
遠慮などしなくていいのですから」


すると柚月さんは、どこか悩んでいた私に
そんな言葉を告げてくれた。

まだ20歳とは思えない程
落ち着いている雰囲気に少し驚きながらも


「…そうですね。
自分の口からきちんと
響さんに気持ちを伝えてみますね」


私がそう言えば
柚月さんは安心したように笑った。