「んーしょっと」
やっぱり重いな。
一人で持ってこうとするんじゃなかったって今さら後悔する。
階段を登った先にある職員室へ歩く。
あと一段登れば着くって思った瞬間、爪先が段差に引っかかるのを感じた。
しまった、って感じた時にはもう遅くて、ノート達は私の手から床に散らばって落ちた。
「いったぁー」
おまけに膝が痛い。
膝を優しくさすった。大丈夫。ひびは入ってなさそう。
早くノート拾わなきゃ。
そう思って立ち上がると、右隣から長い手が伸びてきて、一冊のノートを拾った。
「何してんだ。どんくさいな」
どこかで最近聞いた声のような…。
もしかしてあの人っ。
はっとして勢い良く振り返ると、あの人が腰に手を当てて立っていた。
足長いなぁ。おかげで学ラン姿が似合いすぎていて、しばらく見とれてしまった。
「さっさと拾うぞ」
「は、はいっ」
また会えるとは思ってたけど、不意打ちだしびっくりして鼓動が速くなる。
それにこんな恥ずかしいところ見られちゃって、もう最悪じゃん。
そんなことを考えてながら必死に拾ってると、ノートを拾う手が重なっちゃったから思わずぱっと引っ込めた。
ほんの数秒しか触れてないのに、彼の体温が伝わるし、指の骨のごつごつした感覚に男の子を意識してしまって、かっと頰が熱くなる。
あっという間に最後の一冊。
拾ってノートを持ち上げようとすると、急に隣から手が伸びてきて、私の右手を彼の右手が掴んで捕らえた。
「え、ちょ、ちょっと」
私よりもはるかに大きな、男の子の手。
さっきよりもしっかりと彼の体温も感触も伝わってきて、恥ずかしくて溶けそう。
突然なに、と思って彼の顔を見ると、にやりと笑っていた。悪魔のような笑みだけど、イケメンすぎてときめくしかない。
「手、握っただけだろ。そんな焦るか、普通」
「あ、あなたは慣れてるかもしれないけど、私は彼氏もいたことないし、男の子に手を握られるのなんて、幼稚園児以来なんだもん」
明らかにばかにされてるのが分かって、余計恥ずかしくて、言い訳が私の口から飛び出した。
「へぇ〜、なるほどね」
火に油を注いだのかさらに凶悪な笑みで彼は言う。
「かわい」
「か、か、か」
かわいい、ってなにーもう!
びっくりと恥ずかしが波のように押し寄せてきて、口をぱくぱくさせて彼の方を見た。
そんな私の反応を面白がってるようで、彼は目を細めてふっと笑った。
「お前のこと、気に入ったわ。特別に俺がなってやろうか。お前の初彼氏」
「え、えええぇー!」
さらに私に追い打ちをかえるセリフを軽々と彼は放った。
なんでそうなった?!
頭が大混乱大パニックでなんて言えばいいか分からずあたふたしてしまう。
とりあえずなんか言わなきゃと思って口を開くと、彼は左手で私の口を覆った。
「お前に断る権利はねーよ」
またにやりと笑った彼は、満足したのか、ようやく私の手を離して、階段を降りて行った。
初、彼氏。
うそでしょ、こんなはずじゃなかったのに。
いつだって私は待ってた。
運命の人が私を迎えに来てくれること。
颯爽と私の前に現れて、優しく私の手を握ると、私の目を見つめてその人は言うの。
「君が、僕の運命の人だよ」
って優しい声で。
そんな想像ばかりしていたから、現実とのギャップに脳みそが追いつけないの。
彼が、私の運命の人なの…?
考えがまとまらなくて、だんだん現実じゃなかったような気がしてきて、また頭が混乱してきた。
私はその後もしばらく廊下に座り込んだまま動くことができなかった。
やっぱり重いな。
一人で持ってこうとするんじゃなかったって今さら後悔する。
階段を登った先にある職員室へ歩く。
あと一段登れば着くって思った瞬間、爪先が段差に引っかかるのを感じた。
しまった、って感じた時にはもう遅くて、ノート達は私の手から床に散らばって落ちた。
「いったぁー」
おまけに膝が痛い。
膝を優しくさすった。大丈夫。ひびは入ってなさそう。
早くノート拾わなきゃ。
そう思って立ち上がると、右隣から長い手が伸びてきて、一冊のノートを拾った。
「何してんだ。どんくさいな」
どこかで最近聞いた声のような…。
もしかしてあの人っ。
はっとして勢い良く振り返ると、あの人が腰に手を当てて立っていた。
足長いなぁ。おかげで学ラン姿が似合いすぎていて、しばらく見とれてしまった。
「さっさと拾うぞ」
「は、はいっ」
また会えるとは思ってたけど、不意打ちだしびっくりして鼓動が速くなる。
それにこんな恥ずかしいところ見られちゃって、もう最悪じゃん。
そんなことを考えてながら必死に拾ってると、ノートを拾う手が重なっちゃったから思わずぱっと引っ込めた。
ほんの数秒しか触れてないのに、彼の体温が伝わるし、指の骨のごつごつした感覚に男の子を意識してしまって、かっと頰が熱くなる。
あっという間に最後の一冊。
拾ってノートを持ち上げようとすると、急に隣から手が伸びてきて、私の右手を彼の右手が掴んで捕らえた。
「え、ちょ、ちょっと」
私よりもはるかに大きな、男の子の手。
さっきよりもしっかりと彼の体温も感触も伝わってきて、恥ずかしくて溶けそう。
突然なに、と思って彼の顔を見ると、にやりと笑っていた。悪魔のような笑みだけど、イケメンすぎてときめくしかない。
「手、握っただけだろ。そんな焦るか、普通」
「あ、あなたは慣れてるかもしれないけど、私は彼氏もいたことないし、男の子に手を握られるのなんて、幼稚園児以来なんだもん」
明らかにばかにされてるのが分かって、余計恥ずかしくて、言い訳が私の口から飛び出した。
「へぇ〜、なるほどね」
火に油を注いだのかさらに凶悪な笑みで彼は言う。
「かわい」
「か、か、か」
かわいい、ってなにーもう!
びっくりと恥ずかしが波のように押し寄せてきて、口をぱくぱくさせて彼の方を見た。
そんな私の反応を面白がってるようで、彼は目を細めてふっと笑った。
「お前のこと、気に入ったわ。特別に俺がなってやろうか。お前の初彼氏」
「え、えええぇー!」
さらに私に追い打ちをかえるセリフを軽々と彼は放った。
なんでそうなった?!
頭が大混乱大パニックでなんて言えばいいか分からずあたふたしてしまう。
とりあえずなんか言わなきゃと思って口を開くと、彼は左手で私の口を覆った。
「お前に断る権利はねーよ」
またにやりと笑った彼は、満足したのか、ようやく私の手を離して、階段を降りて行った。
初、彼氏。
うそでしょ、こんなはずじゃなかったのに。
いつだって私は待ってた。
運命の人が私を迎えに来てくれること。
颯爽と私の前に現れて、優しく私の手を握ると、私の目を見つめてその人は言うの。
「君が、僕の運命の人だよ」
って優しい声で。
そんな想像ばかりしていたから、現実とのギャップに脳みそが追いつけないの。
彼が、私の運命の人なの…?
考えがまとまらなくて、だんだん現実じゃなかったような気がしてきて、また頭が混乱してきた。
私はその後もしばらく廊下に座り込んだまま動くことができなかった。

