光と幽霊の彼女


「そんなことできるわけないだろ、逃げてどうなるんだ、お前はもう誰からも見放されて、結局精神病院で頭のおかしいやつ扱いされて、さらに状況が悪化するだけだぞ。勇気を出せ! 光」

「勇気を出せ? そんなもんできるんだったら既にやっているよ。でも無理だよ、末広は同じ状況になっいたことはないからわからないんだろ。誰にも俺のつらさなんてわからないだろ」

 なぜ悪くなる前提で話すんだ。おかしいだろ。それにこの場に自分しか見えない彼女がいた経験がある人はいない。ならなおさらだ。

「わかるよ光、私が幽霊になって途方に暮れたなか、光だけが助けてくれた。そんな人の苦しみが分かっているからこそ、私のことを心配してくれるんだよね。でも私は大丈夫。何があっても私は大丈夫。除霊されてもそれは私の運命。諦めるよ。だから光、現実のみんなとのきずなも大事にして」

 雅子まで末広側のほうに立って説得してきた。雅子にまで裏切られては生きられない。

「大事にして? 現実のみんな? 雅子も諦めてるのか? 雅子も現実のみんなのうちの一人だろ。その言い方じゃあまるで雅子は現実じゃないみたいな言い方じゃないか」

 俺は雅子のために戦っているのに、雅子がその言い方してしまったら勝ち目が無いじゃないか。

「仕方ないじゃない、私はもう死んでるんだから。もし私がいることで光がみんなとうまくいかないんだったら、私はおとなしく除霊される道を選ぶわ。だからお願い寺に行って」

「なんでだよ、俺の幸せを願うんだったら、雅子もいてこその俺の幸せだよ。なんで自分がいなくなったほうが幸せなんて言うんだよ。なんでなんでなんでなんで?」

 雅子がいない現実に幸せは無い。それは当然のことだ。