「なんですか?」
「さっきから誰と話されているのですか?」
「雅子だよ」
光はいたって真面目な顔で言う。何を当たり前のことを聞いているんだ。ああ、いや、そうか。こいつは雅子のことが見えないのか。
「でもそこには誰もいないように見えるのですが」
「いや、いるよ。まさにここに」
もうごり押すか。今更曲げたくはない。それにむかつく。俺はただ雅子と話しているだけなのに。
「でも、あなた一人ですよね」
「いるよ、目に見えないのか?」
光の怒りはデットヒートしていく。
「ふざけるなよ、ここにちゃんといるだろ、ほら!!」
もう雅子のことを知らない人は許せん。俺の怒りは向こう見ずかもしれないが。もうどうでもいい。カッとなったらもう止まらない。
中年の店員はビビって逃げ出した。
「おい、ふざけんな。逃げるなよ」
逃げたらストレス解消できないだろ。
厨房
「すみません、警察ですか? ここに頭がおかしい奴がいるんです、ええ、ええ、ああ、なるほどすぐに来てくれると。大盛り頼んでましたからすぐには食べ終わらないと思います。はい、はい、すぐにきてください」



