チャンス? 何を言っているんだこいつは。
「ごめん、俺には雅子がいるんだ」
何度言われても答えは一つしかない。悪いが、未来永劫チャンスはないだろう。
「雅子さんってもう亡くなられてるんですよね?」
「いや、ここにいる。みんなは見えていないけど、幽霊として俺の近くに今もいるんだ」
末広がため息をついている。どうせ狂ってるとか言いたいんだろうな。
「いい加減にしてください、私の魅力が足りないとかじゃなくて、忘れられないから付き合えないっていう理由なんて、そんなのおかしいですよ。私は、私は、光さんと付き合いたいだけなんです」
魅力的か、昨日のあれでだいぶ評価は落ちたけどな。
「つまりお前は雅子の存在を否定して、雅子の後釜を狙いたいというわけだ」
「違います! 私はただ光さんのために言っているだけで……」
「それは何が違うんだ? お前の言っていることはたぶんお前のためにやってるだけだと思うぞ」
俺から雅子を忘れさせる。つまり、俺に雅子がいないという感じにして不安になった俺に近づくという狙いにしか見えない。
「とにかく俺には付き合えません」
「はあ」
凛子はため息をついた。俺がつきたいんだが。
「私が雅子さんのこと忘れさせてあげます」
「忘れるも何もここにいるんだよ、忘れられるわけないじゃん。てかお前の言っていることには正当性がないようにも思えるが」
やはり、自己中心的な感じを感じてしまう。これは末広にも認められず、味方がいない俺の心が何も信じられずにいるのかは知らんが……とりあえず許そうとは思えない。
「恥ずかしくないんですか?」
凛子は強い口調でそう言う。



