「……俺には理解出来ない」
「俺は何回も考えてるんだ。何回も何回も何回も、雅子がこんなこと考えてるだろうなとか、こんな気持ちだろうな、とか色々、様々なことを考えてる。お前にはこの愛をわからないだろうな」
「光」
そう言って雅子は俺を抱きしめるが、やはりスカッと俺の体を雅子の手がすり抜けるだけだった。
「だから悪いな、お前が言う現実には戻れない、戻れるわけがない」
「もう俺にはどうすることもできないのか? 俺にはお前が狂っているようにしか見えないんだよ」
俺が狂ってる? それを言うならお前らだろう。
「すみません」
昼休みに凛子が訪ねてきた。余計な人が来てしまった。
「何だ?」
返事をする。
「昨日はすみませんでした、急に家を訪ねて」
「ああ、そのことか」
謝られても許すつもりは無いけど。
「それで、もう一回チャンスをくれませんか?」



