光と幽霊の彼女




「違うんだ、そうじゃ無いんだ、俺はお前のことを思って言っただけなんだ」

 そう末広はトイレの中で一人呟く。彼には凛子がどんな人物なのか全く知らないのだが、それでも雅子を乗り越えなくては、光の人生はおかしくなってしまう。

 少なくとも今の見えない物を見えるように振る舞う光にはだ。

「このままじゃいけない、光の人生、青春はおかしくなる。現実に戻って来い、光」

 そう末広は誰もいない空間で一人呟いた。