「はい。お嬢ちゃん」
縁日で浴衣を着た 小さなワタシに ワタアメ屋の おじさんは 女の子の絵のついた ピンクの袋を 手渡してくれた。
「お嬢ちゃんだろ?可愛いねぇ」
うつむく ワタシの顔を 覗き込んで 大きな声で 笑った。
想えば この日が ワタシの中の ワタシを 初めて意識した 日だった。