だって実際そうだった。遠い昔。まだ身長差もそんなになかった頃。蓮くんと1度だけ距離を置いたことがある。
あまりにも冷たいから本気で嫌われているのかなと思って。とにかく言われた通り近寄らなかったし、話し掛けなかった。
そしたら蓮くんは落ち込んで悄気て笑わなくなって家から全然出て来なくなった。
学校にも来なくてグレたのかも知れないと噂になるくらい。パッタリ姿を見掛けなくなった。
心配になって蓮くんのお母さんに様子を聞けば家で1日中、何をするでもなく寝込んでいるようだった。何か考え込みながら、しょんぼりと。いつも明るい蓮くんらしくもなく。
それを聞いて我慢出来ずに蓮くんの家に様子を見に行った。うざがられてもいいやと思って。
部屋のドアが開くまでの間、きっと怒るだろうな……って気持ちでいっぱいだった。出ていけと追い出されるのは百も承知。
だけど、出迎えてくれた蓮くんは私の予想とは違い、顔を合わすなり『ごめん』と謝ってきた。繰り返し、何度も。元気なく。
どうにもならない感情をぶつけるように。随分と弱りきった顔で、動揺していた私を抱き締めて『好きだ』と縋り付くように泣いた。
そんな弱々しい蓮くんを見たのは初めてだった。小さい頃からの付き合いだけど、蓮くんの泣いた顔を見たのはアレが最初で最後。1度きり。



