「くっ、心臓が……」
「止めるな。生きろ」
「う、うん」
「ってか、意外とやれば普通に出来るもんだな」
「何が?」
「いや…。何か、こういうの」
「……うん」
「いっそ、抱き締めてみようかな」
「何それ⁉ご褒美?」
「何のご褒美だよ」
興奮気味に詰め寄ると蓮くんはふっと小さく笑った。そのまま引き寄せられるように抱き締められ、蓮くんの腕の中にすっぽり包まれる。
やばい。嬉しい……。幸せだ。5年ぶりの温もり。恋人として始まった日の温もりと同じ。いいや、あの頃よりもっと温かい。
「蓮く〜ん」
幸せで仕方なくて思いをぶつけるように蓮くんの背中に腕を回し、ぎゅっと抱き締める。すると、蓮くんは伏せていた目をそっと開けて少し切なげな表情で私を見た。
あの日より大っきな体で、あの日より熱く重く確かな気持ちを持って、あの日より優しく穏やかに、
「……ずっと、こうしたいと思ってた」
力強く私を抱き締めて呟いた。
すみません。神様。ありがとうございます。本当にありがとうございます。くっ、嬉死する……。
騒ぎ出しそうな自分の口を押さえ、心の中で歓喜の声を上げる。今すぐ5秒前に戻ってボイスレコーダーに録音したい。録音して永遠にBGMとして流したい。
あぁ、やばい。このままベッドで全力クロールしたい気分だ。嬉しくってしょうがない。気を抜いたらニンマリと笑ってしまいそう。
言葉1つで、行動1つで、ここまで私の心を揺さぶるなんて蓮くんったら狡い。



