「好きなわりには彼女扱いしてくれないね」
「あー、まぁ、それは……、関係が変わったからって途端にデレデレするもアレだし」
「えー」
「付き合いも長いし、昔から知ってるだけに照れる。違う自分になるのが」
「別に引かないのに?」
「それは分かってるけど。何かな……。いきなり態度を変えたら変だろ」
真剣に“な?そうだろ”みたいな顔で見られたけど、そこは全力で首を横に振った。いきなりでもいい。変わって欲しい。
「でもなー」
「照れなくてもいいじゃない」
「そうは言っても。踏ん切りがつかない」
「もー」
「それにお前と2人で居ると、あの日のことを思い出して恥ずいんだよ」
「付き合った日のこと?」
「そうだ。焦って引きこもって告って泣いて、おまけに肝心なところを明日香に言わせたとか。ダサすぎだろ」
ガックリと肩を落として恥ずかしそうに蓮くんらしくもない。まるで黒歴史でも話すような口振りで言われてちょっと笑ってしまう。
照れた顔をしちゃって可愛い。そんな蓮くんが好きでしょうがないのに。
「そんなに嫌?」
「マジで嫌」
「分かった。じゃあ、1回終わらそう」
「はぁ?」
「卒業しようよ」
「卒業?」
「今までの私達は終わり。新しい私たちを始めよう」
正直な気持ちを少し強引に欲と願いを込めて言った。終わらすと言うよりは区切り。
今までの私たちは消えないし、消さない。ずっと残したまま新しく始める。また1から。
「そうだな…」
蓮くんは考え込むような顔でそう一言。そして直ぐに「ってか結局、明日香に言わせてるし」って苦笑いを浮かべた。
ただ一応、考えてはくれるらしい。本音を言えば今すぐ進み出したいなぁと思うけど、今はまだ気持ちだけでいいや。無理に進もうとしたって気まずくなるだけだから。
でも、言って良かった。これも卒業。隠していた気持ちを晒け出して再出発。
「お前ら別れんなよ〜!」
「当たり前でしょー!」
クラスメイトに叫ばれて叫び返す。最後であって始まりでもある日。ふざける友達に手を振り、2人で門から一歩、歩き出した。



