「知ってる」
「そりゃそっか」
「でも、すげぇ嬉しい」
「嬉しいの?」
「そりゃ言われたら嬉しいだろ。好きなんだから」
返ってきた言葉は少し意外なものだった。付き合ってるんだから普通の反応かも知れないけど、なんてったって私たちだし。
気持ちを告げても、もっと“はいはい”みたいな感じか興味がなさそうにされるかと思ってた。嬉しいとか好きだからとかそういうの蓮くんの口から出てくるなんて。正直ビックリ。
「蓮くんって私のことが好きだったんだ?」
「だから付き合ってるんだろ」
「そうだけど…」
何だか信じられなくて今更な質問をしてしまった。正直に気持ちを言ったら、あまりにもあっさり欲しかった言葉を返されたから。
ボタンの掛け違いみたいな、小さいすれ違いをしていただけみたい。
「あのな、どれだけ悪態をつこうが俺の本音はそれだから。あれこれ深く考えないでくれ」
「う、うん」
「不安になったら、あの日、明日香に言った“好きだ”を信じてろよ」
「へ?」
「まぁ、今に比べれば小さいものだったけど。始まりはそこだし。気持ちはあれからずっと続いてる」
気の抜けた顔をする私に蓮くんは少し恥ずかしそうに、だけどハッキリとした声で言った。思いを吐露するように。
嬉しい。あの日、始めた2人の恋は、ちゃんと枯れることなく育ってくれてたんだ。目には見えなくたって消えずに。
芽が出て咲いて生まれ変わって何度も成長しては枯れずにずっと咲き続けてる。心に根付いた気持ちは何1つ変わらぬまま。



