「明日香」
切なさでいっぱいになりながら校舎を見上げていたら後ろから蓮くんに声を掛けられた。
振り向いて視線を合わせると真っ直ぐ私を見つめる蓮くんの顔があった。目が合い若干戸惑う。
珍しい。普段は滅多に視線を合わせてくれないのに。高校生活も最後だからかな?一緒に帰ろうと誘ってくれた。
勿論、笑顔で頷き、浮かれそうな気持ちになりながら、他の生徒に紛れて門に向かって歩いていく。
「卒業しちゃったね」
「そうだな」
「一緒に卒業するの3回目だね」
「うん」
「次の卒業式の時も変わらず隣に居たいな」
「居るだろ」
「居ると思う?」
「居るよ」
振り向いて聞いた私に蓮くんはキッパリと返してきた。自信満々に揺るぎなく。未来の約束でもするように。
そんな誓うようなことを言われるのは初めてで動揺。しかも、いつもと違って視線も逸らさなければ歩幅まで合わせてくれる。
何だか不思議な感じ。普段とは立ち位置が逆だ。蓮くんが私の後ろに居る。
「ねぇ、蓮くん」
「何?」
「大好きだよ」
だからかな。普段は口にしない気持ちを素直に言えた。臆することなく正直に。
思えばハッキリ口に出して言ったのは初めてかも知れない。言わなくても蓮くんは分かってると思ってたし、2人で居てもなかなか告げるような雰囲気にもならなかったから。
返ってくる反応が少し怖かったのもあるかも知れない。



