正直者が愛を見る




 「本当にいいの?」

 「だって一緒に居たいんだろ?」

 「うん」

 「だったら、まぁ、別にいいんじゃねーの」


 ポチっとエレベーターのボタンを押し、蓮くんは私に背中を向けたまま少しぶっきらぼうに言った。


 「そっか」

 
 言葉じゃ普通に返したけど、何だか落ち着かない。ソワソワしてしまう。
 

 だってメチャクチャ意外だ。学校帰りならまだしも休みの日に一緒に居たいなんて言ったら絶対に嫌がられると思ってた。


 そりゃ今まで何度か出掛けたことはあるけど、用事があって行くくらいだったし、ただ単に遊びに行くだけってのはかなり久々。


 付き合ってから初かも知れない。


 「どこに行きたい?」

 「本屋!」

 「本屋かよ」

 「後ね、クレープも食べたい」

 「あぁ、駅前のおっちゃんのとこな」

 「そう。イチゴスペシャル」

 「好きだな、それ」


 張り切って答えた私に蓮くんは“ふっ”と小さく笑みを零す。 何だか機嫌が良さそう。珍しい。もしかして一緒に居たいとかそういう気持ちを臆さずに言っていけば何か変わる?


 理由とか言い訳とか作らず、とにかく素直に言えばいい?そうすれば今までとは違う自分たちになれるかな? それとも、やっぱり何も変わらないだろうか。



 そんな葛藤に包まれながら、いつもより少し近い蓮くんの背中。少し縮んだ距離を愛しく思いながらエレベーターに乗り込んだ。