もうすでにどっぷりハマっている気がしてならない。


「めずらしいな、コーダイがそんななるって」


「いや、おれもねえ、意外と素直じゃない子が好きなんだってびっくりしてる。新発見」


茜は強がりだ。
弱い自分を隠すように、強くあろうとするのだろう。

たった一晩一緒に過ごしただけでも分かるそのいじらしさが、すごくかわいい。


「てか、家はあんのに同居すんの?」


「仕事辞めたから家賃払えんらしい」


「⋯⋯え、ガチ同居?」


「あ、ううん、おれが家賃払う代わりに家事してって頼んだ」


「⋯⋯なるほど」


「ま、いつかは、ね」


「⋯⋯本気じゃん」


当たり前だ。

この出会いを、偶然ではなく、運命にしたいなんて、そんな柄でもないことを思う。


「逃げられんなよ」


「不吉なこと言わないで!」


と、ちょうど茜から“終わりました、どうしたらいい?”と連絡がくる。

“さっき降りた道まで来れる?”と送ると“わかった”と返ってきたので、「さっき降ろした路地までいこ」と車を走らせた。




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