■+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+■




「⋯⋯拾うのもわからんでもないな」


「でしょ?」


茜が車を降りた後。

ふらふらと車を走らせながら、呟いた織田さんの言葉におれは深く頷く。



───昨日。

深夜までスタジオにこもってギターを弾き、そろそろ帰ろうとタクシー乗り場に向かって歩いていたときだった。

真冬の夜、地面に座り込んでいる女なんて地雷でしかないのに、街灯に照らされた横顔と光った涙がやけに綺麗で、目が離せなくなった。

自分から面倒事に巻き込まれていくように、不思議な力に引き寄せられ、思わず声をかけていた。



「なんかねえ、ほんとに猫みたいなんだよ。さっき織田さんが捨て猫って行ったとき、茜にぴったりすぎて笑っちゃった」


「なんとなくわかる。懐くとかわいいだろうな」


「懐いてくれるかな〜」


「⋯⋯あんま、ハマりすぎんなよ」


「ね〜、やばいかも」