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「⋯⋯拾うのもわからんでもないな」
「でしょ?」
茜が車を降りた後。
ふらふらと車を走らせながら、呟いた織田さんの言葉におれは深く頷く。
───昨日。
深夜までスタジオにこもってギターを弾き、そろそろ帰ろうとタクシー乗り場に向かって歩いていたときだった。
真冬の夜、地面に座り込んでいる女なんて地雷でしかないのに、街灯に照らされた横顔と光った涙がやけに綺麗で、目が離せなくなった。
自分から面倒事に巻き込まれていくように、不思議な力に引き寄せられ、思わず声をかけていた。
「なんかねえ、ほんとに猫みたいなんだよ。さっき織田さんが捨て猫って行ったとき、茜にぴったりすぎて笑っちゃった」
「なんとなくわかる。懐くとかわいいだろうな」
「懐いてくれるかな〜」
「⋯⋯あんま、ハマりすぎんなよ」
「ね〜、やばいかも」
