「ま、いいや。改めまして、田島 晃大(たじま こうだい)です。 Unknownってバンドでギターとボーカルやってます」
「存じてます⋯⋯」
「はは、うれしいなー、ありがと」
「あ、えと、古田 茜(ふるた あかね)です。今日から無職です」
「ふはは。茜、年いくつ?」
「こないだ23になりました」
「はー、4つ下かあ、若いねえ」
「コーダイも充分若いじゃん」
「いや、最近まじでおっさん化しててさ、わりとガチで悩んでる」
「ふ。悩んでるんだ」
「お、笑った」
にやりとされて、慌てて口角を元に戻す。
リビング行こ、と言いながらコーダイが部屋を出るので、着いてった。
「さっきも言ったけど、この家自由に使っていいから。あとこれも渡す、何でも買って」
手のひらに置かれたのは、クレジットカード。
「⋯⋯あの、ほんとに、いいの?」
「何が?」
「私、ここにいて、いいの?」
「当たり前。茜の人生はおれがもらったから」
