「座ろっか」
「あ、はいっ……!」
返事をして一般席へと歩を進めた。
が……
「……おわっと」
後ろに腕を引かれ戻されれば、香月さんはわたしの腕を引いたまま、
「あそこにしよ。せっかくのデートなんだから」
カップル限定席へ──
嘘でしょ?
てっきりわたしは普通に隣同士で座るものだと思ってた……
お互い、ねぇ?照れやすいというか、そういうとこあるから。
誘導されるがままにカップル席についた。
「あ、靴脱げるんだね。リラックス出来そう」
座り心地を確認しつつ、靴を脱いだ香月さんが先に座った。
本当に座るのか……
少しためらいのような、恥ずかしさもあって一歩が出ないわたしに、香月さんが手を伸ばす。
「おいで」
──うっ
「……は、い」
ああ、早くもゆでダコ準備スタンバイ。



