──わぁ……!
薄暗い空間に、寝転がれる席や普通の席、小型のベッドみたいなところもあって、少し驚いた。
思い描いていた空間だけど、わたしが知ってるのは映画みたいな席で見上げるような形の普通の席だったから……
まぁ子供の頃から行ってたあの場所は、古かったからかな。
……今はこんな見方ができるのかぁ。
「今なら限定のお席、カップル席が空いておりますので良かったらどうぞ」
「え……」
丁寧にカップル席の方を差す女性の先を見れば、
──う、わぁ……
三つだけカップル席があるけど、一つは……使われていて、真ん中と出口よりの方が空いている。
さりげなく左にいるカップルに目を向けてみると、見た目はわたしたちと正反対な感じの人達だった。
二人とも金髪、
彼女は肩だし……確かオフショルだっけ。
彼氏の方はあれだ。ラッパーにみたいな。
まさにわたしたちと真逆なカップル。
わたしはああいうタイプはちょっと無理かな……性格の良し悪しは別としても。
なんて、考えてしまう。ごめんなさいね……
でも、わたしはそんなこと考えなくていいんだけど……
そうなんですか、と案内された女性と話す香月さんを見れば、やっぱり落ち着く。



