「隠れるから却下」
「?……身体隠すためじゃないよ?」
「じゃあ、何?」
きりくんはさっきまでの笑顔を瞬く間にほどいて、読めない瞳と感情を浮かべない顔つきへと変化させる。
表情のコントロールにおもわず見入っていれば、意識を呼び戻すように太もものあたりに手を這わされて、すり、と厭らしく撫でらて。
「っ!」
妖艶な手つきが生みだすぞわりとした刺激に耐えるように、握っていたスウェットの布地部分をきゅっと噛みしめた。
そのまま、は、は、と乱れた呼吸を繰り返していれば、噛んだ場所に唾液がたらりと染み込んで、ちいさなシミをつくる。
「……自分のくちびる噛むのは、痛いから」
「ふうん。……噛むの、おれの指じゃだめなの?」
「……だめ。きりくんの身体、もう傷つけたくない」
ふるふると首を横に振れば、は、と呆れたように落とされるため息。どこかやさしい余韻を残したそれに続けるように右口角だけを綺麗に持ち上げたら、甘やかすように頬の輪郭をなぞって、きゅっとちいさく摘まんでくる。



