「っ、ひ、……ぅ、」
背中の神経を添うように指先でなぞられて、くちびるは頬、首筋、喉、表面を掠めるように落とされたかと思えば、時々やわらかく食んで、ちゅう、とわざと音を立ててくる。
じわじわと火照っていく肌に、きりくんの冷たい手のひらの温度が馴染む。お互いの体温が溶けていく感覚は、慣れないし恥ずかしい……のに、ほんのすこしだけ心地がよくて、拒めなくて、困る。
目はきりくんに塞がれたままで、視界は真っ黒なはずなのに、瞼の裏でなにかがちかちかと弾けて、眩しい。
「んっ、……っ!」
「、ここ?」
「……や、っ、」
耳の裏を執拗に撫でていた指先が、探るように項に添えられた瞬間。びくんっと一際大きく身体が揺れたあと、時間差で襲ってくる甘ったるい痺れに、ぞわ、と心臓が震える。
……きりくん、なんでちょっと楽しそうなの、……やだ。
「…〜っぅ、……きりくんの、っばか、」
咄嗟に口をついたセリフはあまりにも弱々しくて、か細くて、自分でも呆れてしまう。
じわりと滲んだ涙のアトがきりくんの袖を濡らしていくのを暗闇越しに感じていたら、─────突然。
つくられた闇から一転、眩しいほどの光が視界を差して、反射的にぎゅっと目を瞑ったら。
「こころ」
あまやかで、艶やかで、妖しい声色。
ふっ、と堪えきれないと言わんばかりにこぼされた囁きと微笑に、背筋が凍る。



