1秒、2秒、……やわい熱を孕んだそれが静寂に溶けていくのを他人事のように眺めていれば、視界の上でフードが揺れる。
ふわっとラベンダーの香りが鼻腔を擽ると同時、はらりと目元に落ちてくる髪の毛を耳にかけてくれた指先を目で追っていると、突然視界が暗闇に覆われた。
「っ、ぇ、」
目尻を撫でたやわらかい指先の感触に、それがきりくんの手のひらだと気づいたときにはもう、くちびるは離れたあと。
「……きりくん、表情かおみえない」
「そこかよ。おまえ、ほんとずれてんね」
「……うん、」
「、なんかうれしそ?」
起伏のない声が、不思議そうな温度を滲ませる。瞳も表情からもほとんど悟れないきりくんの感情がいちばん現れるのは声だと、最近気づいた。
「''おまえ''って言い方、ちょっと乱暴だけど、……素のきりくんでいてくれるみたいで、うれしい」
言葉にすると、さらに胸のあたりが心地いい感情で満たされていく気がして、やわらかい空気につられるように頬がゆるむ。
でも、目を覆われているこの状況で笑っているわたし、……端からみたら、通報されてしまいそうだ。
「……きりくん?」
なかなか離してくれないきりくんに痺れを切らして、うー…と首を横に振ってみるけど、離してくれる素振りはない。
……そればかりか。
「っゃ、ぅ、?!」
─────かぷり。鼻の先に濡れた感触を押し当てて、そのままやわく歯を立ててくる



