「……予告なしにされるのは心臓にわるい……から、キスする時は言ってほしい、」
面倒くさがられるかもしれないけど、……わたしはきりくんと違ってそういう触れ合いになれていないので、不意にふれられると心臓が止まってしまうかもしれない。
「、あの……?」
ぎゅう、とフードの下で目を瞑ったまま告げたのだけど、なぜかきりくんに終始無言を貫かれるので、フードの隅っこからちらりと上目で見上げると。
「……───ろよ、」
途切れ途切れに掠れたセリフを落としたあと、頭の上に体重をかけてくる。
顎を乗せられて、上からぐりぐりと押しつけるようにしてくる。いつも余裕飄々な表情で、なぞるようにセリフをこぼして、慣れた手つきでふれて────、それがテンプレートのようなものだったのに。
「き、りくん、」
「……ばかだね、おまえ」
……ひさしぶりに、''おまえ''って言われた……。
でも、なんでだろう。涼しい顔で、甘ったるい声で、いつも呼ばれる'こころ''よりも、ぶっきらぼうで余裕のない声色なのに、きゅんと胸が疼く。
「ハグもだけど、おまえは言えば何でもさせてくれるの?」
「こ、こころの準備が整えば……?」
「なにそれ」
また、ずっしり重心をかけらられる。そのままパーカーの上から雑に頭を撫でられて、せっかく綺麗にブローした髪だってボサボサ。
そんな、甘さの欠片もない戯れに心地よさを感じてしまうわたしは、おかしいのかな。
……なんだろう。いま、すごく。
「きりくん、顔みせて」



