nonsense magic




🌙



「ん、……ん、っ」


一度離れたかと思うと、またすぐに塞がれる。啄むように深く覆われて、上唇をかり、とやわく噛まれて、身体から力が抜けていく。


夜を閉じ込めたみたいに静かで、ひやりと冷たくて、こわいくらいに綺麗な瞳。


そこには自分が映っているのに、……鏡みたいに反射する自分の姿に現実味を感じないのは、なんでだろう。



顎に添えられた指先が、すり、と表面をなぞったら、上唇を舌先でつつかれて、誘導されるみたいに口が開いた。



「ぅ、っ、んぅ」



熱が差し込まれて、息が詰まる。

ぬるい温度を纏う舌はすぐにわたしのもを見つけた。先端の方をかぷりと噛んで緊張をほどいたあと、ゆっくりと絡めとる。



……今までのと、ちがう、知らない。


咄嗟に顔を背けようとしても、頭の裏に回った手のひらがそれを許してくれない。さらにぐっと強く押し当てられて、こぼれる吐息すらも奪われる。



続けられる甘ったるい戯れに、ついにがくん、と足から完全に力が抜けた。



「、あー……ごめん」

「……は、ぁっ、ぅ、……〜っ?」

「そのまま首の後ろに手回して。……ん、そう」


ゆるりと頬を指先で撫でつけながら、ゆるやかな曲線を描く瞳、……お手本のように綺麗に持ち上げられた口角がすこし恐ろしい。


そうして言われるがまま、力の入っていない腕をきりくんの首の後ろでぎゅっと組めば、静かに伏せられた瞳に捕まって、心臓があまやかに震える。



「ぅ、……んんっ」
 

上唇を挟んだら、ゆるりと舌で口端をつつかれる。また意識をまるごと取り込まれるような感覚に、は、と熱っぽい吐息が溢れた。


……きりくん、ごめん、ってぜったい思ってない。



は、と口から酸素を取り込もうと口を開けば、唇の端からひやりとした感触が肌を伝う。