「この香り、好きかも」
「……うん。わたしも、すき」
「入浴剤と同じ匂い?」
「そうなの。ラベンダーのバスソルト、上品で甘すぎない香りがすごく好きで、」
くつろぐようにソファに寄りかかるきりくんを上目に捉えながら笑みをこぼせば、ゆるりと伸びてきた手のひらに頭を撫でられる。
上から下へ、髪の毛に沿うように伝うやわらかい感触におもわず目を細めれば、慣れたように進む指先が耳の裏にあてられて、きゅ、とよわい力で耳朶を撫ぜられた。
「……っ、」
微弱な電流を流されたような、浅い刺激、……身体の内がドクリと脈打って、ふる、と背筋が震えた。
流れるように耳朶から首筋に移動した指先は喉のあたりを擽るように撫でるから、……これは、また揶揄われている?
「……きりくん、」
「ん、なに」
「……わたし、猫、ちがうよ」
「知ってる」
……きりくん、知ってない。
ゆるりと口の端を持ち上げるきりくんの気まぐれは、どうやらまだ続くらしい。
「っ、ん、ぅ」
爪先が皮膚を掠る感触が擽ったくて、ちいさく声を上げながら身をよじれば、さらに追い込むように、すり、と首下の鎖骨の窪みを指でなぞられて、さっきよりも大きく身体が揺れる。
時間差で襲ってくる、ぞわぞわと背中を走る痺れに耐えられなくて、動きを静止するようにぎゅっときりくんのパーカーの袖を掴んだ。



