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ほんのりと甘みを含んだ''それ''に、微かに目元が緩む。傷つけないように、そうっと袋のなかから取り出して、指先でやさしく撫であげれば、ふわ、とまた甘い香りが鼻を掠めて……と、そんな一連の動作を繰り返していれば、後ろのソファがぎしりと軋む。
「────……ドライフラワー、」
手元を覗き込まれ、きりくんの猫っ毛が肩を掠めるようにふれる。毛先はまだすこし濡れているけど、前みたいに水滴がぽたぽた垂れているわけじゃない。
あの日から、ドライヤーで乾かしてくれているらしい。
「ボトルフラワー、だっけ」
「うん。……やっぱり、すごく綺麗」
ショッピングモールの雑貨屋さんで見つけたもので、あまりの可愛さに衝動買いをしてしまったのだ。
ラベンダーにスターチス、やわい白を纏ったかすみ草、全体的にパープルで統一されたそれらが、透明なガラスのボトルに閉じ込められている。
「生花からつくられてるから、匂いも残ってるの」
ボトルの蓋を開けてきりくんへと手渡せば、ほんとだ、と微かに表情をゆるめたきりくんは、やわらかい眼差しを浮かべながら淡い色の花びらにふれた。
そんな横顔を眺めていると、無意識に表情がほころんで、見守るように目を細めてしまう。
……きりくん、お花好きなのかな。
「(もし、そうなら……うれしい)」
同じだ、……なんて、まだわからない共通点を見つけて喜んでいるわたしは、側から見たら呆れられてしまうくらい、単純で簡単な人間かもしれない。



